設立趣旨と経緯
- 趣 旨現代の日本では、物質的な豊かさやメディアの発達などにより生活が大変便利になっています。
しかしその一方で物があふれ、大量の情報が行き交い、そしてその社会を維持するために
あらゆることが、めまぐるしく動いています。
それらの社会環境の変化は価値観の多様化を加速させ、家族や地域を大きく変化させています。
そのことにより、子どもたちの居場所であった地域の交流の場がなくなり、周囲との関係が希薄になっていることが、社会における様々な問題の要因のひとつと考えています。
そこで私たちは、古くからのコミュニケーションツールである本、とくに親子のふれあいを生む絵本の力を再確認し、絵本を媒体としたコミュニケーションが生まれる場を提供しています。
絵本には、冒険の中に知識の伝承があり、生命を慈しむ心や自然に感動する心を培い、生活のマナーや道徳心、そして異文化や自分と違う人たちを理解する人間性、感性の成長が期待されます。また、絵本には子どもだけでなく、性別・世代・立場を超えて、社会の中で他者とコミットする媒体となることで、現代社会が抱える問題を解決する多様な可能性があると考えます。
これらの活動が営利を目的とするものではないため、公益を目的とする特定非営利活動法人設立することといたしました。
- 経過1997年、東京国際フォーラムの開館記念事業イベント「チルドレンズ・ミュージアム・遊ぼう!絵本・カーニバル‘97」を開催したことを契機に、
その後、全国の美術館、科学館、図書館、文化ホール、そしてチルドレンズミュージアムなどで、体験型絵本イベント「絵本カーニバル」としてバージョンアップされて開催を続けてきました。
さらに「絵本カーニバル」は、児童文学や科学系図録も含めた「子どもの本のカーニバル」、「トイ・おもちゃカーニバル」、「子どもとともにデザイン展」を誕生させ、近年では、医療機関や福祉施設と連携し、全国の小児病棟や子ども病院に長期に入院する子どもたちや、その家族に向けての「絵本カーニバル」としても開催しており、その開催数は、この12年間で80カ所を超えています。
また、この「絵本カーニバル」では、絵本の展示を中心に、絵本作家や児童文学者、チャイルドライフスペシャリストなど、医療や保育の専門家と協力し、子どもたちの成育環境を見守り、身体と心のケアという観点から、子どもの居場所づくり、子ども向け絵本コンテンツの制作、子どもたちの身体表現分野でのワークショップを展開しています。
これらの実践と研究の成果による「絵本カーニバル」の役割と、これまでの活動を信頼できる組織として継続し、一企業の枠を越え、様々な企業や行政、市民ボランティアなどが協力して活動を行える体制を整え、その活動を通して子どもの健全な育成や地域社会の活性化など、豊かな社会づくりに寄与する事を目的として特定非営利活動法人を設立することとしました。